内部者取引

インサイダー リスクの管理

インサイダー リスクの管理
出典:証券取引等監視委員会「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編」(令和元年6月)63頁

コンプライアンス

野村グループでは、コンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理を経営上の最重要課題の一つと位置づけています。
コンプライアンスの推進およびコンダクトの適正化のための体制や取り組みについてまとめた「コンダクト・プログラム」を制定し、法令遵守を超えた高いレベルでのコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理を遂行しています。
そして、一人ひとりの役職員が、金融サービスグループの一員として求められる行動の指針である「野村グループ行動規範」に沿った正しい行動ができるよう「コンダクト・プログラム」に基づくさまざまな取り組みを行っています。

基本的な考え方

野村グループはコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理を経営上の最重要課題と位置づけ、法令・諸規則の遵守と適正な企業行動を追求しています。
野村グループにおいては、日々の業務執行においてコンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理を実践するとともに、野村グループの共通の価値観である「挑戦」「協働」「誠実」を具体的な行動に移すための指針としての「野村グループ行動規範」を策定しています。
野村グループの全役職員は毎年1回この行動規範の内容を確認し、遵守することを宣誓しています。また、「野村『創業理念と企業倫理』の日」を定め、毎年、創業の精神に基づく企業文化と企業倫理を今一度確認し、過去の不祥事からの教訓を再認識のうえ、不祥事の再発防止に取組むとともに、金融機関の役職員として社会から求められる規範・倫理に沿った良識に基づいて行動し、社会が期待する役割に応えることが「コンプライアンス」であるという考え方を全役職員に浸透させていきます。

コンプライアンスおよびコンダクト・リスク管理体制

コンダクト委員会で審議された事項については、経営会議に報告されるとともに、定期的に取締役会にも報告され、取締役が必要に応じて意見を述べるなどの過程を通じて、プログラムに基づく取り組みが適切に行われるよう、執行側と監督側の両面から管理しています。
野村グループのコンプライアンス体制の責任者としてコンプライアンス統括責任者を選任しています。また、各社および海外各地域にコンプライアンス責任者を設けています。コンプライアンス統括責任者は、統括部署であるグループ・コンプライアンス部への指示等を通じて、各社および海外地域のコンプライアンス責任者と連携し、グローバルなビジネス展開に対応した内部管理体制の強化、および海外拠点を含むグループ各社におけるコンプライアンス体制の整備・維持を図っています。
野村證券では、コンダクト・リスク管理に関する責任者として、日本証券業協会規則に基づく内部管理統括責任者を設けるとともに、営業単位ごとに営業責任者および内部管理責任者を配置しています。また、社員に対し、遵法精神を啓発し、法令諸規則を遵守した業務運営を推進する責務を担う業務管理者を各部店に配置しています。そして、コンダクト・リスク管理機能を担うコンプライアンス本部を設置し、社内ルールの策定やその周知徹底を行うとともに、各部店および営業店におけるルールの遵守状況等をモニタリングし、問題点が発見されれば、ルールの再徹底や修正などの改善策を講じることにより、法令諸規則の遵守、内部管理体制の強化・充実を図っています。

コンダクト・リスク管理の考え方

  • コンプライアンス・リスクは、法令諸規則の違反、金融市場の公正性・公平性の阻害、顧客の保護を損なう不適切な行動により、制裁金等の財務的損失もしくは評判の悪化を被るリスクを言います。
  • コンプライアンス・リスクには、野村グループの役職員のコンダクトが金融機関に求められる社会規範・倫理を逸脱し、顧客保護や市場の健全性に悪影響を及ぼすリスク(コンダクト・リスク)が含まれます。

コンダクト・リスク管理では、業務に内在するリスクとそのコントロールを自己評価するRCSA(Risk and Control Self-Assessment)の実施やKRI(Key Risk Indicator:リスクを検知するための指標)を活用したモニタリングを通じて、PDCAサイクルの考え方を実践していきます。

インサイダー脅威とは

コンピューター画面が眼鏡に映り込んでいる、沈痛な表情の男性のクローズアップ

アクセス権限の悪用によるサイバー攻撃は企業と企業の従業員と顧客に損害を与える可能性があります。 「2020年版IBM X-Force®脅威インテリジェンス・インデックス」によると、2019年に発生した侵害数が2018年に発生した侵害数の200%を超えた主な原因は、不注意によるインサイダー脅威でした。 悪意があるかないかにかかわらず、インサイダーは組織の機密データのある場所を把握しているのに加えて、高いレベルのアクセス権限を有しています。

インサイダー攻撃は組織にとってコストがかかるものでもあります。 Ponemon Instituteの 「2020年版インサイダー脅威のコスト調査」で、研究者は、内部でのデータ侵害による平均年間コストが1,145万米ドルであり、インシデントの63%が不注意によるものであったことを明らかにしました。

インサイダー脅威の種類

現従業員、元従業員、請負業者、ビジネス・パートナー、仕事関係者のすべてが、脅威をもたらす可能性のあるインサイダーです。 ただし、会社のコンピューター・システムやデータに対して適切なレベルの権限を持っている人は誰でも 、サプライヤーやベンダーを含め、組織に損害を与える可能性があります。

インサイダーの動機、意識、権限レベル、目的はさまざまです。 Ponemon Instituteは、インサイダーを不注意によるもの、犯罪によるもの、資格情報に関連するものに分類しています。 また、Gartnerは、インサイダー脅威を歩兵、間抜け、協力者、一匹狼という4つのカテゴリに分類しています。 注:Ponemon InstituteとGartnerは、独立した調査、助言、教育レポートを作成し、企業や政府機関に提供しています。

間抜けとは、自分にはセキュリティー・ポリシーが適用されないと信じている無知または傲慢なユーザーのことです。 利便性や無能さから、彼らは積極的にセキュリティー制御を回避しようとします。 そして、"間抜け"は、セキュリティー・ポリシーを無視し、脆弱なデータとリソースを保護しないまま放置するので、攻撃者が簡単にアクセスできるようになります。 Gartnerのレポート「Go-to-Market for Advanced Insider Threat Detection(高度なインサイダー脅威検出に関する市場参入計画)」によると、「インサイダー・インシデントの90%は"間抜け"が原因」だそうです。

脆弱なインサイダーを使用する詐欺師

保護されたシステムの内部に詐欺師の標的がある場合、詐欺師は、従業員のアクセス特権を手に入れることに焦点を絞ります。 詐欺師は、サイバー犯罪のために歩兵や間抜けを餌食にします。 彼らはさまざまな戦術と技法を使用して資格情報を取得します。数例を挙げるとすると、フィッシング・メール、水飲み場型攻撃、武器化されたマルウェアなどがあります。 そうした資格情報を手に入れたら、詐欺師はシステム内を横方向に移動し、特権を昇格し、変更を加え、機密データや金銭にアクセスできます。 詐欺師は、コマンドアンドコントロール(C2)サーバーを使用して、アウトバウンド通信中に、保護されていない場所にあるデータや情報にアクセスできます。 アウトバウンド試行の変更を行ったり、大量のアウトバウンド転送を実行したりできます。

脆弱性を探る

  • フィッシング・メールやマルウェアを 展開する
  • インサイダー リスクの管理
  • 不良ユーザーを 見つける
  • 侵害された資格情報を 手に入れる

権限を利用する

  • 目的のターゲットに向かって横方向に移動する
  • 必要に応じて特権を昇格する
  • 資産にアクセスする

権限を悪用する

  • ネットワーク活動をわかりにくくする
  • データを改ざんする
  • データを盗み出す

インサイダー脅威を軽減する方法

インサイダー脅威の種類ごとにさまざまな症状が現れるので、セキュリティー・チームは症状を診断して原因を突き止めることができます。 しかし、攻撃者の動機を理解することで、セキュリティー・チームはインサイダー脅威の防御に積極的に取り組むことができます。 インサイダー リスクの管理 インサイダーの脅威を軽減するために、成功している組織は、包括的なアプローチを使用しています。 彼らは一般的に、次のことを行うセキュリティー・ソフトウェアを使用しています。

  • アクセス可能なデータのマップを作成する
  • 権限の付与、権限の取り消し、多要素認証(MFA)の実装といった信頼メカニズムを確立する
  • デバイスとデータ・ストレージに関するポリシーを定義する
  • 潜在的な脅威と危険な行動を監視する
  • 必要に応じてアクションを実行する

2019年の高度な脅威に関するSANSのレポートによると、セキュリティー担当者が、インサイダー脅威防御に重大な欠陥があることを発見しました。 このレポートでは、この欠陥が2つの領域の可視性の欠如に起因していることがわかりました。その2つの領域とは、通常のユーザー行動のベースラインおよび特権ユーザー・アカウントの管理です。 こうした欠陥は、フィッシング戦術と資格情報侵害にとって魅力的なターゲットとなってしまいます。

ユーザーを知る

  1. 機密データにアクセスできるのは誰ですか?
  2. アクセスする必要があるのは誰ですか?
  3. エンドユーザーはデータを使用して何をしていますか?
  4. 管理者はデータを使用して何をしていますか?

データを知る

  1. どのデータが機密ですか?
  2. 機密情報が公開されていますか?
  3. 機密データにはどのようなリスクがありますか?
  4. 管理者は機密データへの特権ユーザーのアクセスを制御できますか?

検出と対処

セキュリティー・チームは、インサイダー脅威を検出するために、ユーザーの通常の活動と、悪意のある可能性のある活動を区別する必要があります。 活動を区別するために、組織はまず、可視性の欠陥を埋める必要があります。 ひいては、一元化された監視ソリューションに、セキュリティー・データを集約する必要があります。このような監視ソリューションは、 セキュリティー情報およびイベント管理(SIEM: Security Information and Event Management)のプラットフォーム や、ユーザーおよびエンティティーの行動分析(UEBA: User and Entity Behavior Analytics)のスタンドアロン・ソリューションに含まれています。 多くのチームは、アクセス、認証、およびアカウントの変更ログから始めます。 そして、インサイダー脅威のユース・ケースが成熟するにつれて、仮想プライベート・ネットワーク(VPN)やエンドポイントのログなどの追加のデータソースへと範囲を広げていきます。

組織は、特権アクセス管理(PAM)ソリューションを導入し、そのソリューションからSIEMに、特権アカウントへのアクセスに関するデータを供給する必要があります。 情報を一元化したら、組織はユーザーの行動をモデル化し、リスク・スコアを割り当てることができます。 リスク・スコアは、ユーザーの地域の変化やリムーバブル・メディアへのダウンロードといった、リスクの高い具体的なイベントに関連付けられています。 リスク・スコアを割り当てることで、セキュリティー・オペレーション・センター(SOC)のチームが、監視リストを作成したり、組織内の高リスクのユーザーに焦点を当てたりして、企業全体のリスクを監視できるようになります。

十分な履歴データがあれば、セキュリティー・モデルを使用して、各ユーザーの通常の行動のベースラインを作成できます。 このベースラインがユーザーまたはマシンの通常の動作状態を表すので、そこから逸脱した動作をシステムが警告できるようになります。 個々のユーザーについて、逸脱した動作が追跡され、同じ場所に存在し同じ役職や職務に就いている他のユーザーと比較されます。

ユーザー中心のビューを導入することで、セキュリティー・チームは、一元化された場所から、インサイダー脅威の活動をすばやく特定し、ユーザー・リスクに対処できます。 たとえば、ユーザー行動分析では、異常な時間帯、異常な場所から行われた異常なログイン試行や、複数回のパスワード試行の失敗を検出し、アナリストの検証が適切な場合にはアラートを生成することができます。 言い換えると、異常な行動は、ユーザーが悪意のあるインサイダーになったこと、または外部の攻撃者が資格情報を侵害したことを検出する役に立つ場合があります。

検証したら、セキュリティー・オーケストレーション、自動化、および対応(SOAR: Security Orchestration, Automation and Response)のシステムが、インサイダー脅威対処ワークフローを作成できます。 そしたら、プレイブックで必要な対処を指定できます。 対処方法としては、MFAでインサイダーにチャレンジする、権限を取り消すなどの方法が考えられます。どちらも、IDアクセス管理(IAM)ソリューションで自動的に実行できます。

KNOW-HOW

今回は「インサイダー取引」「コア・コンピタンス」の2つの要素について理解を深めてみましょう。

10. インサイダー取引

たとえば、ある会社の役員が2 ヵ月前に退職しましたが、退職前に今期公表していた予想値に比べて、実際の売上高が40 %減少する見込みであることを聞いていたとします。このとき元役員が、その情報が公表される前に自社株を売ることは、インサイダー取引にあたります。

●インサイダー取引に関わる重要情報の例
・会社の合併、解散
・新製品、新技術の開発
・主要取引先との取引停止
・業績予想の大きな変動

11. コア・コンピタンス

1. コア・コンピタンスの確認
自社がすでに持っている独自のコア・コンピタンスを確認します。顧客がひとりでもいる企業には、必ずコア・コンピタンスがあると考えられます。顧客がその会社を選択している何かしらの理由があるはずです。

2. 有用なコア・コンピタンス経営の計画
1で確認したコア・コンピタンスを有効に活用できる経営戦略、方向性を考えます。自社の得意分野だけに注力し、不得意分野は他企業に依頼してしまうのも有効な経営手段です。

3. 計画の実行とコア・コンピタンスの維持
思い描いたコンピタンス経営を実行するための努力をします。

おぼえておきたい関連用語 ドメイン
ドメインとは事業領域とも呼ばれ、企業として競合他社とたたかう領域又はたたかわない領域を明らかにすること。製品やサービスなどにおける自社の強みから定義することが多く、定義の仕方が企業のその後を大きく左右することになる。

インサイダー取引

インサイダー取引審査の流れ

当法人の相談窓口に寄せられたご質問とその回答を取りまとめました。
なお、本FAQはインサイダー取引規制に関する考え方のポイントを一般論として示したものであり、実際の事案における事実関係によっては異なる結論となる場合があり得ることにご留意ください。また、インサイダー取引規制の対象とならない取引であっても、他の法令やモラルの観点から問題がないことを意味する訳ではないことにもご留意ください。
また、金融庁及び証券取引等監視委員会が、インサイダー取引規制の基本的な内容や実務上問題となる論点に関する法令解釈の指針等に係るQ&Aを公表していますので、こちらも併せてご参照ください。

インサイダー取引に関するよくある質問(0.3MB)

1. 規制対象となる者

  • 未公表の重要事実を知っているかを確認する。
    ※知っている場合は、当該重要事実の公表後に売買を行う。
  • 知っている情報が未公表の重要事実か判断が難しい場合は、自社の株式の売買を管理する部署などに確認・照会する。
  • 自社の株式の売買に関する社内ルールがある場合は、必ず社内ルールに従い、必要であれば所定の手続きをとってから売買を行う。

Q2. 親族に上場会社の役員(従業員)がいる場合
私の親族が上場会社の役員(従業員)を務めていますが、私が当該上場会社の株式を売買するとインサイダー取引規制違反となるでしょうか。 A2. 上場会社の役員や従業員は会社関係者に該当するため、親族の方は会社関係者に該当します。会社関係者が業務上で重要事実を知った場合、その会社関係者から未公表の重要事実の伝達を受けた者は第一次情報受領者に該当します。もっとも、親族に上場会社の役員や従業員がいるだけであって、その親族から未公表の重要事実の伝達を受けているのでなければ、インサイダー取引の成立要件を欠いていますのでインサイダー取引規制違反とはなりません。
Q3. 上場会社の役員退任後の売買の場合
私は、4か月前まで上場会社の役員を務めていましたが、このたび、資金が必要となったため、在任時から保有していた当該上場会社の株式を売却したいと考えています。退任後ですので、上場会社の株式の売買をしてもインサイダー取引規制に違反しないと考えてよいですか。 A3. 会社関係者でなくなった後1年以内の者も、会社関係者と同様にインサイダー取引規制の対象とされています。そのため、在任中に職務に関して知った未公表の重要事実が売買する時点で未だ公表されていない場合は、インサイダー取引規制違反となり得ます。また、退任後に新たに未公表の重要事実を知った場合であっても、会社関係者から伝達を受けた場合には、情報受領者としてインサイダー取引規制に違反することとなり得ます。なお、いずれのケースも、「資金が必要となった」などといった、売買の動機はインサイダー取引の成否には関係ありませんので御注意ください。
Q4. 「役員」の意義
インサイダー取引規制に関連して、「役員」の売買報告書の提出義務(金融商品取引法第163条)や、「役員」に対する短期売買利益の返還請求(金融商品取引法第164条)が定められていますが、どのような人が「役員」に該当しますか。 A4. 金融商品取引法第21条第1項第1号で「役員」は、「取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又はこれらに準ずる者をいう。」と定義されていますが、この後に「第163条から第167条までを除き、以下同じ。」とありますので、インサイダー取引規制における「役員」の定義については解釈に委ねられていることになります。
しかし、一般的にはインサイダー取引規制における「役員」の定義も、上記の金融商品取引法第21条第1項第1号における定義と同じと考えられており、執行役員、相談役、顧問などは「役員」には含まれません。もっとも、執行役員、相談役、顧問などであっても、「その他の従業者」に該当するものとして、インサイダー取引規制の対象となると考えられます。
Q5. 「子会社」の範囲
インサイダー取引規制においては、上場会社の子会社の役職員も「会社関係者」に該当し、また、上場会社の子会社に関する一定の事項も当該上場会社の重要事実に該当すると聞きました。どこまでの範囲が「子会社」に含まれますか。 A5. 上場会社等の属する企業集団に属する会社として、直近の有価証券報告書などに記載されたものをいいます。(参考:金融庁は、平成20年12月25日、法令解釈に係る照会手続の回答の中で金融商品取引法第166条第5項に定める「子会社」への該当状況に対する考え方の一例を示しています。)

金融庁該当ページ
Q6. 立ち聞き、飲み会での情報受領
私は上場会社の従業員ですが、社内で重要事実を立ち聞きした場合やアフターファイブの飲み会の席で未公表の重要事実の話を聞いてしまった場合に自社の株式などの売買をしたらインサイダー取引規制に違反することになりますか。 A6. たまたま社内で知った場合であっても、その状況によっては重要事実を「職務に関して」知った会社関係者としてのインサイダー取引と判断されるおそれがありますし、飲み会の席上で知った場合であっても、情報受領者として規制の対象とされることも考えられますので、御注意ください。

2. 規制対象となる取引

Q1. 利益が少額の場合、損失が出た場合
上場会社の未公表の重要事実を知って当該上場会社の株式を買い付け、公表後に売却したものの、数万円程度の少額の利益しか出ていない場合や、損失が出てしまった場合でも、インサイダー取引規制違反となるでしょうか。 A1. インサイダー取引の成否には取引による利益の額・損失発生の別は関係ありませんので、会社関係者等が上場会社等の未公表の重要事実を職務に関して知った場合などにおいて、公表前に当該上場会社等の株式を売買した場合は、適用除外に該当しない限り、インサイダー取引規制違反となります。実際の事例でも、課徴金額が4万円と少額であっても課徴金納付命令が出された事例も存在します。 インサイダー リスクの管理
Q2. 1株(1単元)など少量の売買の場合
上場会社の未公表の重要事実を知っていますが、例えば100株(1単元)だけといった少量の売買であれば、インサイダー取引規制違反として摘発されることはありませんか。 A2. インサイダー取引の成否には取引数量は関係ありませんので、1単元であっても会社関係者等が上場会社等の未公表の重要事実を職務に関して知った場合などにおいて、公表前に当該上場会社の株式を売買した場合は、適用除外に該当しない限りインサイダー取引規制違反となります。実際に買い付けた株式が1単元と少量であっても課徴金納付命令が出された事例も存在します。 インサイダー リスクの管理
Q3. 利益確定売りをしていない場合
上場会社の未公表の重要事実を知ったうえで、当該上場会社の株式を買い付けましたが、重要事実の公表後も売却せず、保有を継続しています。当該買付けはインサイダー取引規制違反となりますか。 A3. 他の要件を満たす限り、未公表の重要事実を知って最初に買い付けた時点でインサイダー取引規制違反となります。そのため、その後買い付けた株式を売却しても、あるいは保有を継続していても、インサイダー取引違反でなくなることはありません。
Q4. 不当な利益を得る目的以外で売買した場合
子供の入学金準備、住宅ローン返済、役員就任にあたっての自社株保有や長期投資の目的であれば未公表の重要事実を知って売買をしてもインサイダー取引に該当しませんか。 A4. インサイダー取引は会社関係者と情報受領者が「未公表の重要事実を知って売買」すれば成立します。売買の動機はインサイダー取引の成否には関係ありません。
したがって、会社関係者又は情報受領者に該当するのであれば、設問のような目的に基づき売買を行ったとしても、インサイダー取引が成立しますので御注意ください。未公表の重要事実が公表されればインサイダー取引規制が解除されますので、売買にあたっては重要事実が公表されたかどうかを事前に御確認ください。
Q5. 決算発表の直前・直後の売買
上場会社が決算発表を行う直前や直後に、当該上場会社の役員や従業員が当該上場会社の株式を売買することは禁止されていますか。 A5. 上場会社の役員や従業員といった会社関係者ではあっても、法令上は、決算発表の直前・直後に自社の株式などの売買を行ってはならないとのルールはないため、当該上場会社の未公表の重要事実を知らなければ当該上場会社の株式の売買は禁止されておりません。
ただし、インサイダー取引の未然防止のため、上場会社によっては、社内規程により決算発表の直前・直後の当該上場会社の株式の売買を禁止しているところもありますので、社内規程の内容には十分御配慮をいただければと思います。
Q6. 役員(従業員)持株会
私は上場会社の役員(従業員)で、未公表の重要事実を知っています。役員(従業員)持株会で自社の株式を毎月買い付ける場合や、持株会から株式を引き出して売却する場合はインサイダー取引になりますか。 A6. 一定の計画に従い毎月行う定時定額の買付け(各役員・従業員の1回あたりの拠出額が100万円未満)はインサイダー取引規制の適用除外です。したがって、このような自社の株式の買付けであれば、未公表の重要事実を知っていても可能であり、インサイダー取引規制違反に問われることはありません。ただし、未公表の重要事実を知りながら行う持株会拠出額の増加や新規加入はインサイダー取引規制の対象となります。
一方で、持株会から引き出した株式の売付けは、インサイダー取引規制の適用除外とはされていません。自社の株式の売付けを適切に行い、インサイダー取引の疑いをもたれないようにするためには、「1. 規制対象となる者」のQ1で述べた留意点を踏まえることが有用であると考えられます。
Q7. 株式累積投資制度(「るいとう」)
いわゆる「るいとう」による買付けはインサイダー取引規制の対象となりますか。 A7. 上記Q6の役員(従業員)持株会の定時定額の買付けと同様に、いわゆる「るいとう」による買付けも、インサイダー取引規制の適用除外とされています。もっとも、買い付けた株式を売却する場合はインサイダー取引規制の対象です。
Q8. 贈与・相続
贈与による上場会社の株式の譲渡又は譲受けはインサイダー取引規制の対象となりますか。また、相続による上場会社の株式の取得はインサイダー取引規制の対象となりますか。 A8. インサイダー取引規制の対象となる行為は「売買等」であり、これは売買その他有償の譲渡若しくは譲受けなどを意味します。そのため、無償で行われる贈与による株式の譲渡や譲受けはインサイダー取引規制の対象とはなりません。また、同様の理由から、相続による株式の取得もインサイダー取引規制の対象とはなりません。
Q9. ストックオプションの行使
私は、上場会社に勤務しており、会社からストックオプションの付与を受けて保有していますが、これを行使して株式を取得することはインサイダー取引規制の対象となりますか。また、ストックオプションを行使して取得した株式を売却する場合はどうですか。 A9. ストックオプションとして付与されている新株予約権を行使して株式を取得することは、インサイダー取引規制の適用除外にあたりますので、未公表の重要事実を知りながらでも可能です。
これに対して、ストックオプションを行使して取得した株式を売却する場合は適用除外にあたりません。したがって、特に株価の状況を見て権利行使・株式取得・売却を行う場合でも、未公表の重要事実を知っていると、取得した株式を売却できないケースがありますので御注意ください。
Q10. 市場外の相対取引、ToSTNeTを通じた取引
市場外での相対取引やToSTNeTを通じて行われる上場会社の株式の売買はインサイダー取引規制の対象となりますか。 A10. 市場外での相対取引やToSTNeTを通じて行われる上場会社の株式の売買は、いずれもインサイダー取引規制の対象となり得ますが、市場外での相対取引のうち、売買等の当事者双方が同一の未公表の重要事実を知って売買等を行う場合は、規制の適用除外に該当となる場合もあります。

3. 規制対象となる有価証券

Q1. 単元未満株式
私は上場会社の単元未満株式を保有していますが、このような単元未満株式の売却や買い増しはインサイダー取引規制の対象となりますか。 A1. 単元未満株式の売買についてインサイダー取引規制の適用除外とする規定がないので、単元株と同様にインサイダー取引規制の対象であると考えられます。
なお、これに対して、上場会社等が単元未満株式の買取請求に応じて買取りを行う場合(会社法第192条・第193条)、単元未満株式の売渡請求に応じて売渡しをする場合(会社法第194条)は、適用除外とされています。
Q2. ETF・株式投資信託
ETF、株式投資信託の売買等は、それぞれインサイダー取引規制の対象となりますか。 A2. ETF、株式投資信託は、原則として、インサイダー取引規制の対象である「特定有価証券等」ではありません。
もっとも、ETF、株式投資信託であっても、例えばいわゆる自社株投信のような、信託財産を特定の上場会社等の特定有価証券のみに対する投資として運用する旨を信託約款に定めた投資信託の受益証券や、同様の旨を規約に定めた投資法人の発行する投資証券などは、「特定有価証券等」に該当するものとして、インサイダー取引規制の対象となることがあります。
Q3. 未上場会社の発行する株式
未上場会社の発行する株式や、フェニックス銘柄はインサイダー取引規制の対象となりますか。 A3. インサイダー取引規制の対象は、上場会社等が発行する有価証券に限られますので、株式を上場していない未上場会社の発行する株式は、原則として、インサイダー取引規制の対象ではありません。ただし、フェニックス銘柄制度は、未上場会社株式の売買制度ではありますが、この制度の対象とされているフェニックス銘柄は、インサイダー取引規制の対象とされています。

フェニックス銘柄制度
Q4. 「子会社連動株式」・「連動子会社」の意義
子会社の決定事実の軽微基準について調べていたら、「子会社連動株式」や「連動子会社」といった言葉がでてきましたが(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第52条第2項など)、これは何ですか。 A4. 簡単に言えば、上場会社がA、B2種類の株を発行している場合、A株については自社の利益を剰余金の配当の原資としますが(通常の上場株)、B株についての剰余金の配当がある特定の子会社の剰余金の配当に基づき決定されるときの、B株を子会社連動株式(いわゆるトラッキング・ストック)、その特定の子会社を連動子会社と呼んでいます。
連動子会社、子会社連動株式については、それぞれ、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第11号、同府令第52条第1項第12号に定義規定が置かれており、具体的な内容は金融商品取引法施行令第29条第8号に規定されています。
なお、現在は、上場会社が発行する株式に子会社連動株式は存在していません。

4. 重要事実

Q1. 四半期決算の数値
四半期決算において、決算短信で公表した予想値に比較して売上高等について大幅な差異が生じましたが、決算情報(金融商品取引法第166条第2項第3号)としてインサイダー取引規制上の重要事実となりますか。 A1. 決算情報として定義されているのは、通期の売上高等の予想値、決算数値について差異が生じたことであると考えられていますが、四半期決算の数値についても注意が必要です。
四半期決算の数値とはいっても、例えば、その内容から通期の売上高等の予想値の修正がされるであろうことが読み取れる場合は、具体的な数字としては四半期決算の売上高等の予想値を知った場合であっても、実質的に通期の売上高等の予想値の修正を知ったものとみられ、決算情報を知ったものと判断される場合があります。
また、四半期決算の売上高等の予想値の修正自体が株価に影響を与える場合もあると考えられますが、このような場合において、バスケット条項に該当する可能性が排除されているわけではありません。
Q2. ストックオプションの付与
当社では、役員・従業員に対してストックオプションを付与することを考えていますが、ストックオプションの付与の決定はインサイダー取引規制上の重要事実となりますか。 インサイダー リスクの管理 A2. 役員・従業員などに対してストックオプションとして新株予約権を付与する場合は、募集の払込金額を無償(0円)又は著しく廉価とすることが一般的であると思われます。
この場合、募集の払込金額の総額が1億円未満であれば、重要事実には該当しません。
Q3. 代表取締役又は代表執行役の異動、取締役の異動
上場会社において、代表取締役又は代表執行役の異動や、取締役の異動が決定されたことは、インサイダー取引規制上の重要事実となりますか。 A3. 代表取締役又は代表執行役の異動の決定は、適時開示事項ではあっても(有価証券上場規程第402条第1号aa)、一般的には、インサイダー取引規制上の重要事実には該当しないと考えられます。
また、代表権のない取締役や執行役の異動の決定も、一般的にはインサイダー取引規制上の重要事実には該当しないと考えられます。
ただし、例えば、代表取締役が当該上場会社に対して強い影響力を持つ創業者である場合などは、その辞任が株価に影響することも考えられますので、投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすものとしてバスケット条項に該当する可能性もあると考えられます。
Q4. 株主優待の創設、変更、廃止
上場会社による株主優待の創設、変更、廃止の決定はインサイダー取引規制上の重要事実となりますか。 A4. 株主優待の創設や変更の決定については、重要事実のうち、剰余金の配当の決定に該当するか否かが問題となり得ますが、一般的には株主優待の創設、変更、廃止の決定が剰余金の配当に該当することはありません。ただし、ほとんどの株主が株主優待を期待して株式を保有している場合などであれば、その廃止の決定はバスケット条項に該当する可能性があると思われます。
Q5. 上場会社等の決定事実の軽微基準(単体の数値か連結の数値か)
一定の重要事実については軽微基準が定められており、例えば、上場会社等による株式交換の決定に関しては、当該上場会社等が完全親会社となる場合であれば、「株式交換完全子会社・・・となる会社・・・の最近事業年度の末日における総資産の帳簿価額が会社の最近事業年度の末日における純資産額の100分の30に相当する額未満であり、かつ、最近事業年度の売上高が会社の最近事業年度の売上高の100分の10に相当する額未満である場合において、当該株式交換完全子会社となる会社との間で行う株式交換」は軽微基準に該当し、重要事実には該当しないとされていますが(金融商品取引法第166条第2項第1号チ、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第5号イ)、この場合の純資産額や売上高は、単体の数値又は連結の数値のいずれを意味するのでしょうか。 A5. 単体の数値を意味します。
子会社の決定事実に係る重要事実の軽微基準に関しては、法令上、「『当該上場会社等の属する企業集団の』資産の増加額」(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第52条第1号イ)のように、連結の数字を指すことが明示されています。
御質問の例の場合は、特に上記の文言のように「当該上場会社等の属する企業集団の」といった限定はされていないため、単体で判断していただくことになります。
ただし、当該上場会社等が特定上場会社等である場合には、資産額や売上高等の財務数値として連結の数値を参照していただくことになります。

Q1. 重要事実の公表直後の売買
上場会社が重要事実を公表した直後に、当該上場会社自身が自己株式取得を行ったり、会社関係者が売買等を行ったりすると、インサイダー取引規制に違反することになりますか。 A1. 重要事実が公表された後であれば、当該上場会社の株式の売買などがインサイダー取引規制に違反することはありません。
ただし、公表直後においては、実質的に見て、未公表の時点から重要事実を知っていた会社関係者と一般投資家との間に情報格差が存在するため、当該会社関係者、特に取締役等が積極的に自社の株式の売買を行うことは、一般投資者との平等性において著しく衡平を欠くこととなるおそれがあります。
このため、東証からは、上場会社に対し、上場会社の会社関係者が重要事実の公表直後に当該上場会社の株式の売買を行う際には、会社情報を広範な投資者に公平、迅速に伝達するという適時開示情報閲覧サービスの本来の制度趣旨をよく御理解いただき、十分な配慮をいただきたい旨の通知を上場会社宛てに通知させていただいております(平成16年1月16日(東証上サ第19号)「証券取引法施行令第30条の改正に伴う積極的なIR活動の充実等の要請について」)。

6. 罰則等

Q1. インサイダー取引の罰則等
インサイダー取引規制に違反した場合、どのような罰則がありますか。 A1. 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれらの併科になります。また、法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人の計算でインサイダー取引規制に違反した場合には、その法人に対して5億円以下の罰金刑が科されます。
また、インサイダー取引規制違反によって得た財産は原則として没収又は追徴されます。例えば、インサイダー取引により200万円で買い付けた株式を売却することによって300万円を得た場合には、300万円が没収又は追徴の対象となります。
このほか、罰則ではありませんが、規制の実効性確保のため、行政上の措置として、インサイダー取引規制に違反して自己の計算で有価証券の売買等を行ったものに対して、金融庁から課徴金納付命令が出されます。これにより、違反行為によって得た経済的利益相当額を基準として定められた方法によって算出された金額を国庫に納めることになります。
Q2. インサイダー取引規制の時効等
インサイダー取引規制違反の時効はいつ成立しますか。 A2. 公訴時効は、売買等(買付け等又は売付け等)が行われた日から5年を経過することによって完成します。また、課徴金納付命令に先立つ審判手続開始の決定の除斥期間についても同様です。
Q3. 課徴金と刑事罰の関係
インサイダー取引規制に違反した場合、一つの違反行為が課徴金と刑事罰の両方の対象とされることはありますか。 A3. 法令上は、一つの違反行為を課徴金と刑事罰の両方の対象とすることも可能となっています。
ただし、刑事罰としてインサイダー取引により得た財産の没収又は追徴が行われている場合は、当該財産の価額に相当する金額を課徴金の額から控除するなどの調整がなされることになっています(金融商品取引法第185条の7第15項、第185条の8第1項)。

7. 社内ルール等

このような特定の時期における役職員による売買の規制は、法令上の要請ではなく、インサイダー取引の未然防止の観点から、各上場会社の社内ルールに基づいて行われているものです。もっとも、このような規制を設けることにより、役職員の資産形成の事由を一定の範囲で制限することにもなります。
そのため、このような社内ルールを設けることの是非については、各上場会社において、未然防止の実効性を確保しつつも、過剰規制に陥らないように配慮しつつ、判断されるようお願いいたします。
Q3. 家族を社内ルールの対象とすることの是非
当社は上場会社ですが、役員(従業員)の家族の自社株の売買についても、役員(従業員)と同様に事前届出の対象とするなどの社内ルールの対象とすべきでしょうか。 A3. 上場会社において、一律的に役員(従業員)の家族を社内ルールの対象として売買状況を管理することは、必ずしも必要ではないと考えられます。各上場会社の管理状況を見ると、一部の上場会社では家族の自社株売買についても社内ルールの対象としているケースもありますが(※)、各社の実情に応じて御判断いただければと思います。
過去の公表資料 (※参考:「第三回全国上場会社内部者取引管理アンケート調査報告書」問9)
役員(従業員)の家族によるインサイダー取引を未然に防止するためには、社内ルールの対象とする以外にも、未公表の重要事実が家族に伝わらないように情報管理を徹底することやJ-IRISSに登録すること(下記Q6参照)も有用です。
Q4. 社内ルールへの違反
当社は上場会社ですが、社内ルールで、決算期の直前・直後に自社の株式などの売買を行ってはならないとのルールが設けられています。このような売買をするとインサイダー取引規制に違反することになりますか。 インサイダー リスクの管理 A4. 社内規程はインサイダー取引の未然防止の観点から設けられているものであり、法令上は、決算期の直前・直後に自社の株式などの売買を行ってはならないとのルールはないため、決算期の直前・直後に自社の株式などの売買を行ったこと自体が直ちにインサイダー取引規制に違反することになるわけではありません。したがって、このような時期に売買を行っても、貴社の未公表の重要事実を知らなければインサイダー取引規制に違反することはありません。
もっとも、法令に違反することがなくても、社内規程に違反すれば、一般的には就業規則違反として懲戒処分の対象となり得ることに御注意ください。
Q5. 子会社役員の報告義務
上場会社の「役員」については、特定有価証券等の売買等の報告(売買報告書)の提出義務(金融商品取引法第163条)、短期売買利益の返還(金融商品取引法第164条)に関する規定がありますが、当該規定の対象となる「役員」には子会社の役員も含まれますか。 A5. 売買報告書の提出義務を負い、短期売買利益の返還請求の対象とされているのは、当該上場会社の役員及び主要株主(※)であり、当該上場会社の子会社の役員は対象ではありません。ただし、当該上場会社の役員を兼務している方は当該上場会社の役員として売買報告書の提出などが必要になります。

  • 「主要株主」とは、自己又は他人名義をもって総株主等の議決権の10%以上の議決権を有している株主のことを言います。(金融商品取引法第163条1項)

Q6. J-IRISS
「J-IRISS」とは何ですか。 A6. 「J-IRISS」(Japan-Insider Registration & Identification Support System)とは、日本証券業協会が運営する、上場会社の役職員およびその同居者による意図しないインサイダー取引を防ぐためのシステムのことをいいます。2020年1月末現在、東証一部上場会社の9割以上が加入しています。
J-IRISSの詳細につきましては、「その他の活動状況」のページ又は日本証券業協会のHPを御参照ください。

上場を目指すスタートアップ、上場企業の役職員が押さえておくべきインサイダー取引規制

上場を目指すスタートアップ、上場企業の役職員が押さえておくべきインサイダー取引規制

出典:証券取引等監視委員会「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編」(令和元年6月)63頁

会社に対する影響

会社の行為としてインサイダー取引が行われた場合、法人自体も刑事罰や課徴金の対象となります。刑事罰としての罰金は5億円以下(金商法207条1項2号)、課徴金も取引金額が大きければ多額になりますので(金商法175条など)、一般に個人に対する罰則よりも重くなるケースが多くなります。 また、会社の行為としてインサイダー取引が行われた場合はもちろん、会社の役員や従業員がインサイダー取引を行った場合、レピュテーションリスク等の会社の負担は極めて大きなものとなります。 例えば、ある会社の経理部員が、未公表の決算情報を入手してインサイダー取引を行った場合、その経理部員が告発された、もしくは課徴金を課されたという事実は、会社の名前を明かす形で証券取引等監視委員会や金融庁から公表され、公表と同時に記者会見が開かれます。 そうなると、会社としてはコンプライアンスの点で投資家からの厳しい目に晒されますので、再発防止に向けた対策を講じ、場合によっては公表する等の対応が必要となります。

出典:株式会社小僧寿し(2019)「証券取引等監視委員会による当社元従事者に対する課徴金納付命令の勧告について」

出典:株式会社日本ハウスホールディングス(2019)「証券取引等監視委員会による当社元従業員および従業員に対する課徴金納付命令の勧告について」

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