【基礎から解説】今さら聞けない不動産投資の利回りを基礎からやさしく解説
例えば、年間で100万円の収益を稼ぐ物件Aと物件Bを考えます。物件Aは、郊外の片田舎にあり、築30年を超えるアパートです。それに対し、物件Bは都心部にある新築の区分ワンルームマンションだとします。
物件Aは、周辺環境は過疎化が進んでおり、空室率が6割を超える物件で、毎年のように修繕費も多く発生するような物件です。入居者を募集してもなかなか決まらず、今の入居者が退去してしまえば、次の入居者が埋まるかどうか、怪しい物件というような物件だとします。
一方で物件Bは、若者に人気の街の中にあり、賃貸需要はとても高く、新築なので修繕費はほとんどかかりません。仮に退去が発生しても、次の入居者はすぐに埋まるような物件です。
物件Aの方が、物件Bよりも空室リスクや賃料下落リスク、修繕リスク等のリスクが明らかに高いです。このような物件Aと物件Bがあった場合、同じ年間100万円を稼ぐ物件だとしても、物件Aよりも物件Bの方が買いたいと思う購入希望者が多くなります。
物件Aは、あまり人気がなく、1,000万円でしか売り出せないとなると、その利回りは10%となります。それに対し、物件Bは、購入希望者が殺到し、2,レバレッジ効果 000万円で売られている物件となると、利回りは5%になります。
結果的に、物件Aの方が価格は安くなるので、利回りも高くなります。物件Aの利回りは10%で、物件Bの利回りは5%ですが、これは物件Aの方がリスクは高いということを意味しています。
購入する側からみると、物件Aは1,000万円で価格は安いですが入居者に人気がなく、物件Bは2,000万円ではありますが、物件Aより人気が高いためリスクが小さいわけです。
つまり、利回りはリターンの指標であると同時に、リスクの指標でもあるということになります。利回りの高い物件はハイリスクハイリターンであり、利回りの低い物件はローリスクローリターンということです。
高利回りの物件だからと言って、投資を行うのは、危険な判断であるということを理解しておきましょう。
1-3. 適正価格の判断指標
利回りは適正価格の判断指標にもなり得ます。
利回りが1年間の収益を投資額で割った数値であることから、逆に 適正利回りを知っていると逆算して適正価格が分かるようになります。
実際に、機関投資家と呼ばれるプロの不動産投資家は、利回りを適正価格の判断指標として使っています。
プロの不動産投資家は、ある程度の利回り感を持っているため、利回りを見ただけで「この物件は高過ぎる、安過ぎる」という判断ができます。
利回り感というのは、「この物件なら何%くらいが妥当だろう」といったセンスです。例えば、都内の一棟マンションなら4%くらいが妥当だろう、郊外の築古アパートなら10%くらいが妥当だろうという、ぼんやりとした感覚です。
このような利回り感を持っている人であれば、利回りが3%の都内の一棟マンションの物件を見た場合、「この物件価格は高過ぎるから投資すべきではない」と判断することができます。
1-4.分母が何を指すかに注意する
利回りは1年間の収益を投資額で割った数値になりますが、この分母である投資額には土地価格を含むというのが基本です。
たまに、複数の土地を持つ地主さんの中には都市部で土地活用をした方が利回りは高くなると理解している人がいます。
元々、土地を持っている人であれば、このような理解も間違いではありません。
建物価格は全国どこでも同じです。また賃料は都市部の方が高くなります。よって、持っている土地の中で都市部の土地を活用した方が利回りは高くなります。
但し、一般的に投資家の間で話題となる利回りは、分母に土地価格を含むため、都市部で土地活用した方が利回りは低くなります。
リターンやリスクは、結局のところ、土地価格を反映したものになります。
2. 利回りの種類
2-1.表面利回り
表面利回りとは、1年間の賃料収入を投資額で割った数値になります。別名、「粗利回り」と表現されることもあります。
ただ、数値としては一番高くなり、見栄えが良いためチラシには良く登場します。
しかしながら、表面利回りは実態がよく分からないため、投資の判断指標として用いるのは不適切です。
表面利回りは、あくまでも参考程度に留めるようにして下さい。
2-2.NOI利回り
NOI利回りとは、1年間のNOIを投資額で割った数値になります。
NOIとはNet Operating Incomeの頭文字をとった略称であり、「実質的な運用益」ということになります。
不動産投資家が投資の判断指標として用いる利回りは、このNOI利回りであるため、 NOI利回りが一番大切な利回り となります。
2-3.キャッシュフロー利回り
キャッシュフロー利回りとは、1年間のキャッシュフローを投資額で割った数値になります。借入金の返済も含めた実質的なキャッシュフローに対する利回りを表します。
3.不動産投資家調査による利回りの目安
不動産投資を行う上では利回り感を養うことが重要です。そこでこの章では利回りの目安についてご紹介します。
3-1.賃貸住宅の期待利回り
利回りの目安を知る上で、一番参考となるのは、一般財団法人日本不動産研究所が示す不動産投資家調査です。
不動産投資家調査は、半年に一度、機関投資家に期待利回りの調査を行い、その結果を公表しています。
期待利回りは「各投資家が期待する採算性に基づく利回り」です。これくらいの利回りがあったら良いなと期待している利回りになります。
地区 | ワンルーム期待利回り |
---|---|
札幌 | 5.3% | レバレッジ効果
仙台 | 5.3% |
東京(城南地区) | 4.0% |
横浜 | 4.5% |
名古屋 | 4.8% |
京都 | 5.0% |
大阪 | レバレッジ効果4.6% |
神戸 | 5.0% |
広島 | 5.5% |
福岡 | 5.0% |
交通アクセス | 最寄り駅から徒歩10分以内 |
---|---|
築年数 | 5年未満 |
平均専用面積 | 25~30m 2 |
総戸数 | 50戸程度 |
3-2.投資家利回りの利用の仕方
例えば東京で一棟ワンルームマンションの物件を検討しようとしたときに、3.5%の利回りの物件があったとしたら、その物件は他の投資家も「高い」と感じていることが分かるようになります。
投資家の期待利回りを知ることで、プロの投資家と同じ感覚で物件が高いか安いかを見極めることができます。
投資家調査の結果を利用して、まずは利回り感を養い、高い物件を購入しないように判断の指針に役立てるようにして下さい。
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